皮膚科の診療

皮膚科の主な疾患の診断と治療

にきび(尋常性ざ瘡)
にきびは、90%以上の人が経験する皮膚の慢性炎症性疾患です。主な原因は皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌という細菌の増殖によります。アクネ菌が増殖すると強い炎症が生じ、毛穴の周りの皮膚に障害を与えケロイド状に盛り上がったりへこんだりして瘢痕(はんこん)を残すことがあります。なるべく早めの受診をお勧めします。
治療は外用薬(アダパレン、過酸化ベンゾイル、アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合薬、抗生剤など)、内服薬(抗生剤、ビタミン剤、漢方薬など)を組み合わせて行います。

アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は増悪・寛解を繰り返す、そう痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者さんの多くはアトピー素因を持っています。治療は外用薬(ステロイド、タクロリムスなど)や内服薬(抗アレルギー薬、漢方薬)を使用します。

じんましん
じんましんは皮膚の一部が突然に赤くくっきりと盛り上がり(膨疹)、しばらくすると跡かたなく消えてしまう病気です。原因はアレルギー性のものと、非アレルギー性のものに大別されますが、そのほとんどは原因が不明です。治療は抗アレルギー薬の内服が中心になります。

みずいぼ
みずいぼは伝染性軟属腫ウイルスというウイルスが皮膚に感染してできます。いぼが手足にできやすいのに対し、みずいぼは手足以外にできやすいのが特徴です。治療はピンセットでつまんで除去したり(いぼ取り)、冷凍凝固療法を行うことがありますが、自然に軽快することも多く、外用薬のみで様子を見ることもあります。

水虫
水虫は白癬菌というカビの一種が、足の指の間や足の裏、爪などに感染して起こります。診断には症状がある箇所の皮膚を採取し、顕微鏡で菌の存在を確認します。治療は外用薬や内服薬で行います。

虫刺され
皮膚炎を引き起こす原因となる主な虫は、カ、ブユ、アブ、ノミ、トコジラミ、ハチ、ケムシなどの昆虫類、そしてダニ、クモ、ムカデなどの昆虫以外の節足動物があります。症状には大きく分けると「痛み」と「かゆみ」があります。軽症であれば市販のかゆみ止め外用薬でもよいですが、赤みや痒みが強い場合はステロイドの外用薬が必要です。

帯状疱疹
水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の初感染では水痘(みずぼうそう)になりますが、再活性化して発症するのが帯状疱疹です。症状は片側の神経分布領域に一致して神経痛様疼痛、知覚異常あるいは痒みが数日から1週間続き、やがて虫さされのような浮腫性の紅斑が出現します。治療は抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)の全身投与を行います。

たこ・うおのめ
足の特定の場所に繰り返し異常な圧迫刺激が加わることにより生じる角質の肥厚のことです。
圧迫や歩行などに伴って、楔状に食い込んだ角質の芯が神経を圧迫して痛みを生じます。治療には角質を軟らかくする外用剤の塗布や中心部の芯の部分の切除などがあります。

多汗症
多汗症には全身に汗が増加する全身性多汗症と体の一部に汗が増える局所多汗症があります。全身性多汗症には特に原因のない原発性と感染症、内分泌代謝異常や神経疾患に合併するものがあります。局所多汗症も原因のわからない原発性と外傷や腫瘍などの神経障害による多汗症があります。原発性局所多汗症では手のひら、足のうらや脇という限局した部位から両側に過剰な発汗を認める疾患です。治療は原発性腋窩多汗症の場合はエクロックゲルやラピフォートワイプ、原発性手掌多汗症の場合はアポハイドローションの外用を行います。

陥入爪
爪の外側が爪床に食い込んでいる状態で、足の親指に頻発します。その原因の1つとして、つま先の窮屈な履物の着用が挙げられます。保険診療では、外用薬処方やテーピング指導を行いますが、改善に乏しい場合は自費診療でワイヤーによる矯正をお勧めしています。